都内の安アパートに住んでいる俺の部屋にインターホンの音が鳴り響いた。
モニターには若い女性が映っていた。
予定のない来客には対応しないつもりだったが、宗教の勧誘に来たようにも見えなかったので、記憶から抜けているだけで通販の配送かもしれないと思って受話器を取った。
「同じ階に住んでいる者です。」
受話器を通して女性はそう言った。
俺はドアを開けた。
モニターには映っていなかったが、優しそうなお父様も一緒にいた。
最近引っ越してきたとのことで、挨拶をしたいとのことだった。
好意的な挨拶をした。
二人とも安心したようだった。
俺はドアを閉めた。
二人に音が聞こえないように少し時間を空けてから、ドアの鍵をかけた。